大型バイク試乗記:その2【H-D sportster XL1200N】

今回はすごいですよ。ハーレー・ダビッドソンです。

「ハーレー」と聞いて皆さん何を思い浮かべるでしょうか。アメリカの広大な大地を走破するために作られた大柄なボディ。鳴り響くVツインエンジンの轟音。その存在感は唯一無二、バイク界の最高峰との呼び声も高いです。

ですが、実は私、ハーレーにあまりいい印象を持ってませんでした。いわゆるMade in USAのイメージといえば、大雑把、大味、無駄にデカイ、アメリカの工場でドーナッツ食ったオッサンが適当に設計したものというものだからです。皆ハーレーすげぇというけど、日本製のほうが性能良いことは明白なので、今回試乗出来ることを知ってもあまり過度な期待しないでおこうと思っていたわけです。


とは言え、何せハーレーです。ハーレーという名前自体にインパクトがあります。
同じアメリカンバイクでも「ホンダのに乗ってる」ってのと「ハーレーに乗ってる」というのでは凄味が違います。(ホンダのアメリカン乗りの人ごめん。)





ということで、今回の試乗車はこれです。


H-D Sportster XL1200N(スポーツスター1200ナイトスター)
OHV 空冷 V型2気筒 1200cc
最高出力 N/A
車体重量 260kg
 
■H-D Japan XL1200N 公式サイト
http://www.harley-davidson.co.jp/lineup/detail.php?model=A555







ハーレーの中では小型な部類に入るこの一台。市内のハーレーダビッドソン取扱店に置いてあったのはパープルメタリックのスポーツスター。個人的に、アメリカンではどちらかと言うとギンギンギラギラのメッキ仕様のバイクより、こういうちょっとドラッガー仕様?っぽい方が好きです。(タンデムシートがあった方が尻すぼみにならず、見た目的はに好きですが・・・)

その日は日曜で天気も良かったので道がかなり混んでる中、試乗スタートしました。

ヒャッハー!初ハーレーだぜ!




まず気がついた点が2つ、出足の速さと「軽さ」です。
このバイク1速がやたらロングレンジで、少し混んだ幹線道路程度のスピードなら1速のみでいけそうなほど伸びます。その分クラッチを繋いだ時の出足が早く、国産と同じ感じで低速走行しようと思うと思わぬ出足の速さにびっくりします。とは言えトルクがあるので半クラを使えば低速が難しいわけではありません。アメリカは日本とちがってひたすら道路が直線なので、こんなギア比なのでしょうか。
次に「軽さ」です。誤解の無いように言うとこのバイク決して軽くはありません。ハーレーの中では小柄なボディですが、それでも車重260kg。アメリカンでは軽い方かもしれませんが国産のリッタークラスネイキッドと同じくらいはあります。しかし、重心が低く足つきが良いので停まってる時は非常に楽ですし、カーブで結構パタパタ倒れてくれるので大きさや重さを感じないのです。ハーレーのイメージからくるドッシリ重たい感じを想像すると拍子抜けする車種かもしれません。




信号でストップしていると、ハンドルやお尻から結構な振動が伝わってきます。ちょいとエンジンを覗き込むと、アメリカ製のデカいV型エンジン全体がブルブルと生き物の様に震えているのがわかります。スゲー。こういうのを見ると、ハーレー好きの気持ちがわかる気が・・・。

乗った感じは法定速度程度で走ってる程度が一番快適です。追い越しなどでスピードを上げると少し強い振動が来るので、高速で100km以上出して飛ばすようなバイクではありません。むしろこれに乗っていると法定速度を守ってゆったり走りたくなります。これはアメリカンの魅力のひとつで、ゆっくり走っても楽しいというのは事故のリスクを減らすという意味でも良いことじゃないでしょうか。

このスポーツスターという車種はまだ比較的国産に近い?性格で、ハーレーの中では軽快な部類のバイクなのですが、それでもなんというか、国産バイクとは完全に何かが違います。例えて言うなら繊細な和食と豪快なリブロースステーキを比較するみたいなもんで、勝負している土俵がまるで違います。タンク形状のせいで全くニーグリップが効きませんが、そんなことを気にするバイクではありません。飛ばさずゆっくり走ればいいのです。アメリカンですのでタコメーターなんて物はもちろんついてませんが、それも当然気にしてはいけません。レブまで引っ張らなきゃ良いのです。

だいたいスペック表に馬力が書いてません。
馬力?1200ccあるから"それなり"でいいだろ!HAHAHA!」とミルウォーキー(※)の革ジャン親父が言ってるかの様です。(※ハーレーダビッドソンの本社工場はウィスコンシン州ミルウォーキー
ハーレーにスペックなどというものは不要なのです。




なんか、だんだんハーレーが好きになってきました。




「それでも国産に比べると高いよなぁ・・・」という人。ごもっともな意見です。(私もそう思います。)
しかし、乗ってる内にもう一つ良いことを発見しました。

私普段は原付バイクのHonda Apeに乗っているのですが、Apeだと車体が小さいこともあってか、車から車間距離詰められたり、すぐ近くを追い越しされたりと結構危ないと感じることがあります。交差点で待ってる時もデカイ4輪に紛れて一台小さいのがポツンと居る状態ですので、他の車から見下されてる感があるのです。
が、これがハーレーだとまるで違います。信号待ちで隣の車からほぼ確実に視線を感じます、畏怖の視線を。なにせタンクにでっかく「HARLEY-DAVIDSON」と書いてあるデカイのがドゴドゴドゴドゴアメリカンVツインサウンドを響かせて後方から迫ってくるわけですから、周りのドライバーの身構え方が違います。当然舐めてかかってくるドライバーはいません。ハーレーに乗ってるというだけで怒らせたら恐い(?)みたいなイメージがあるのでしょうか、むしろ道を譲ってくれたりします。



もしかしてこれがハーレーに乗ることの一番のメリット?

気のせいだろと思う人、否定はしませんが一度試乗してみることをオススメしますよ。





まとめ:ゆっくり走って楽しいのはエライ。そしてハーレーという名前がついてるだけで色々意味がある。